本日は私達がお伝えするコンテンツの中でも最も重要なお客についての内容になります。

昨今はダイレクトレスポンスマーケティング、エモーショナルマーケティング、ストーリーマーケティング、プロダクトローンチなどの様々なマーケティング方法があります。

そしてまたNLP、コールドリーディング、ドクターズセールスメソッドなどの販売心理といった、「売り方」に関する情報は年々形を変えながら増えていっているにも関わらず、「お客」という買う立場に関して学ぶ情報が枯渇しています。

今回このお客について学ぶことにより、あなたの今までの売り方に対する考え方、手法が変わり、一過性のないテクニックではなく、しっかりとしたビジネスの土台を築くことが出来るでしょう。

1. お客が欲しいものを欲しい価格で提供する

最も重要な考え方がこの2つです。


お客の欲しいものを提供する
そしてお客が買える価格帯にする



最近、多くの起業家や起業予備軍に見られることなのですが、趣味を仕事にする、好きなことで生きていくというのは、完全にあなた(売る立場)での話です。あなたの趣味や好きなことと、お客が欲しいものは別です。

あなたの趣味にお客がお金を払うわけではなく、お客は自分の欲しいものに対してお金を払います。ですので、作る立場・売る立場でビジネスを考えるのでなく、使う立場・買う立場に立って常に物事を考えなければいけません

2. 売れないのではなく、お客が買わない

あなたは自分の商品・サービスが売れないと困っているかもしれません。しかし、あなたの商品・サービスが売れないのではなくて、お客が買わないというのが事実です。

売上を伸ばしたいという経営者も少なくありません、しかしその言葉の中にはあなたが、あなたの都合で売り上げを伸ばしたいということ。そうなると次にとる行動はお客への売込みです。お客がいらないといっている商品をお客に広告や販促で無理やり売り込むことになります。



売上金額というのは、お客が買い上げた金額



お客が欲しいと思わない限り、あなたの商品はどれだけ販促・広告をしようと売れません。少しの言葉の違いですが、立場・視点を考えるとこれは大きな意味の違いでして、まずこれを理解しなければいけません。

3. お客は節操がない

それでもあなたは大切なお客様に誠心誠意尽くしているかもしれません。お客の要望に何でも答え、お客が求めるものをすべて用意し、朝から晩までお客のことを考えているかもしれません。

しかし、お客に対して誠心誠意 心を使ってサービスをしていたとしても、お客は節操がないのは事実です。



例えば、

あなたがアパレルショップで服を選んでいる時に、店員や店長がとにかく話をしてくる。あなたはゆっくりと服が見たいけれども売り手は誠心誠意のサービスをしようと必死です。

自分の体型や雰囲気にあった、よい素材で、価格のお手頃な商品を選んでくれるかもしれません。しかし、他の店でももっと安い価格で自分に欲しいピッタリのものがあれば、そっちに行くのではないでしょうか。

どれだけ売る側が誠心誠意 対応しようとしていても、あなたは店を変えてでも自分にとって一番な商品を選ぶはずです。




お客は自分の事しか考えていない



だからお客が欲しい商品を欲しい価格で提供するというのが根本的なfor the customerであり、心がこもった対応というのはビジネスでは当たり前。それ以上をする必要はありません。

お客は神様でもないですし、ビジネスはもともとは物々交換です。この原点を忘れてしまうと、売り手・買い手のどちらかが納得出来ない取引になります。

4. お客の予算を考える

お客の欲しいものを、お客の欲しい価格でと説明させて頂いておりますが、これは単に安売りをしようという話ではありません。お客の予算を考えようということです。

お客は何かを買う時にある程度の予算を決めています。その商品の相場について分からなければ、このインターネットが普及した時代ですので、いくらでも価格は調べられますし、沢山の相見積もりもとることだってできます。



お客が安いと感じる価格で提供する



一般的にお客が安いと感じる価格は市場価格の8掛けです。東京の築地で多くの店が海鮮どんぶりを2,000円で販売していたら、1,600円で同じようなクオリティの店があれば、そちらを選んでしまいますよね。

このように価格はお客の選択に大きな影響を与えます。お客の予算を考えずに、あれもこれもと不必要な機能を追加して付加価値という名目でお客に販売をしているのが現在の日本企業です。

お客の予算を考えてビジネスを展開しているユニクロや回転寿司が多くの人に選ばれるのは当然の事といえます。

5. お客のライフスタイルに合わせた商品構成

現在、沢山の商店街が軒並みにつぶれていってるのはお客にとってスーパーマーケット、ショッピングセンターのほうが便利だからです。お客がすき焼き用の肉を買いに行ったとき、商店街では肉を買いに行き、野菜を買いに行き、ガスボンベ(缶)を買いに行くということになります。

反対にスーパーマーケットでは、1つの建物、フロアですべてが揃います。ショッピングセンターにいたっては食材以外、洋服や散髪、ネイル、ペット用品など様々なものが手に入り非常に便利ですよね。




もしあなたが取り扱っている商品が、ボールペンであれば、当然の事ながらノートも販売すべきです。他にもファイルやバインダーなど。お客のライフスタイルを考え、それに合った商品群をそろえなければいけません。

インターネット販売でよく見られるのが専門店化です。専門店というのはお客にとって分かりやすいのですが、まだまだ不便です。


例えば、

仕事が出来るような外見を整えたいビジネスマンに、スーツだけを売ってはダメ。時計や靴、カフスボタンや、優待券をつけて美容室やヒゲ脱毛だって売ることが出来ます。このように単に商品を売るのではなく、お客のライフスタイルに合わせて商品を揃えなければいけません。

6. お客様の為にという心がけだけではダメ

商売・ビジネスでは心が大切だと言われています。お客様に対する心がけ、最近ではおもてなしの心。心を込めているから、お客が求めていないものを売ってもいいかということではありません。

例えば、

料理人がお客の為に心を込めて刺身を切るのと、心をこめないで刺身を切るのとで、具体的に何が違うのか?お客が食べるお刺身は何も変わりません。そもそも心が入っているのがビジネスでは大前提です。




それ以外に差別化しようとしていないから、心構えという「意識」だけをお客に提供しようとして満足している経営者は少なくありません。意識ではなく、具体的にお客が求めている「もの」「こと」で提供しなければいけません

先ほどの料理人の例では、意識ではなく、早く出すとか、安く出すとかになります。早く出したり、安く出すためには技術が必要です。一方、心構えを変えるのに技術は不要。心がけだけで出来ますが、心はこもっているのが当たり前というのをお忘れなく。

7. 作り手が手間暇かけて作ったものを本当にお客は欲しいのか?

作り手が手間暇をかけて、心を込めて作る。聞こえは非常に良いのですが、手間暇をかけて商品を作り倒産している会社は沢山あります。理由は簡単です。


手間暇をかけるとコストが上がる
コストが上がると販売価格にも影響する



イタリアで修業をしてきたシェフが手間暇をかけてパスタ生地を作り、1,200円で1皿のペペロンチーノを販売するのとサイゼリアが完璧なローコストオペレーションシステムで298円で1皿のペペロンチーノを販売するのと、どちらが多くのお客に長く支持されるでしょうか。

サイゼリアの場合、他のメニューも安く、1人でも、ファミリーでも、団体でもそこそこ美味しく・楽しく食事をすることが出来、また頻繁に通うことが出来ます。

これも安売りをしようという話ではなく、お客が嬉しいことをしようという話です




あなたが食事や身の回りのものを購入するときに、すべてが作り手の手間と暇をかけたものばかりを購入しているでしょうか。ユニクロやZARA、セブンイレブン、または大手飲食チェーン店なども使用するのではないでしょうか。

このように、自らは大手企業のリーズナブルな価格や品質に満足して、頻繁に購入するにも拘らず自分のビジネスとなると手間暇をかけて、心を込めて、コストを上げて高く売るという経営者は沢山います。

自らもお客の立場に立って考えなければいけません。またこれらは大手だから出来る手法ではなく、やり方を知っているか知らないかの話です。あなたが大手企業でなくても、大手がとっている戦略をマネすることは出来ます。

8. お客の立場から見ないと分からない

ビジネスを運営するうえで必要なのは、ストアロイヤリティーやコーポレートロイヤリティーという言葉です。ロイヤリティーというのは日本語で「忠誠」という意味。それでは、誰が誰に忠誠を誓うのか?

一般的には、企業(あなた)がお客に忠誠を誓うと思われており、お客様の為に、お客様は神様、などといったように捉えられています。しかし、これは間違いです。




お客があなたに忠誠を誓う



あなたがお客のライフスタイルに貢献し、お客があなたに対して感謝する。あなたのおかげで助かった、楽しい、うれしい、とお客に言ってもらえる、忠誠を誓ってもらえるようなビジネスを作ること。

これが正しいストアロイヤリティです。

ストアロイヤリティを実現するためのポイント

1. 安さ:品質 × 売価

何度も上述している通り、価格というのは非常に影響力の強いポイントです。そして勘違いをしてはいけないのは、ただ単なる安売りではないということです。粗悪な品質の商品を安くてもいいからお客に売りつけるという意味ではありません。

お客が欲しいものを、お客が欲しいと思える十分な品質で、安くないとダメなのです



a. 利掛け主義と入り値主義

ここで安く売るにあたっての、売価と原価についてご説明します。

a-1.利掛け主義

多くの経営者、または営業マンは売価を決定するときにベースにするのは原価です。原価の○%に利益を載せて売価とする事を、利掛け主義といいます。

この利掛け主義というのは非常に簡単。仕入れ先に原価を確認して、○%の利益を上乗せする。中学生でも出来る作業ですが、ほとんどの経営者がこのような価格の決め方をしています。

a-2.入り値主義

一方、入り値主義というのは、先に売価を決めます。お客が欲しい商品の欲しい価格をしっかりと調べたうえで、売価を決定。そして、原価を決めていきます。

例えば、

パスタ屋さんでは、ある立地で競合やお客の情報を調査し、お客がこれなら買う!と確信できる価格がランチのパスタ 1皿 380円とします。

この380円でパスタを提供するために、まず作り方を考えます。手作りでは人件費を考えると380円は無理です。既に麺として加工されているものを購入します。生地へのこだわりは捨てなければいけません。

そして、次はゆで時間です。一度に沢山の麺をゆでる設備も必要ですし、少ない人数で調理できるようなオペレーションシステムも必要です。またメニュー数を増やすと在庫も増え、作業手順も増え、時間が掛かるので、売れ筋メニューだけを早く作れるようにします。


このように、まず売価を決めてから原価を決めるのが入り値主義であり、大手企業や伸びている企業はこれを実践しています。




お客に原価は関係ない
お客の為に原価を決めるのはあなた



仕入れ先を変えたり、調理方法を変える、立地を変える、素材を変える、提供方法を変えたりして適切な原価を決めるのが本当の企業努力です。心構えではありません。

2. 品質

多くの日本企業の間違いは付加価値をつけて提供することが当たり前だと思っていることです。家電やスマホ、ランドセルに至り、様々なものに付加価値をつけて価格を上げて(もしくは下げないで)販売しています。

お客が必要としているのは、付加価値ではなく、必要な価値です




例えば、ランドセル。

本革で出来たランドセル。本革だから長く使えるし、高級感もあり、子供や孫の為にと奮発して購入する人もいます。

本革だから耐久性もあり10-15年も使い続けることが出来るというのがセールスポイントです。しかし、小学校は6年間。10年も持つ品質である必要はありません。

なので、現在の主流は合成皮革素材のランドセル、クラリーノです。

合成皮革のランドセルでこれが本革のランドセルの価格の5分の1の値段ならそっちを選ぶ人は多くいます。クラリーノなら軽いし、水は弾くし子供の肩にも負担になりません。

このようにお客が求めている品質、必要な価値で商品を提供しなければいけません。


他にも、ファストファッション

ユニクロやZARA、H&Mがこれほどまでに支持されているのはお客の必要な価値を十分に満たしているからです。なぜならファッションの流行は毎年変わりますよね。服の値段が高いと、沢山の服が買えませんし、買えないから流行にもついていくことが出来ません。

婦人服などで1着10万円以上するアウターで、翌年に流行が変わった場合、気軽に買い換えることなんて出来ないですよね。ファストファッションは必要な価値を、欲しい価格で提供しているからこそ、多くのお客に支持されているのです。

3. 豊富さ

取り扱っている商品があなたが販売しているものだけで完結していはいけません。

あなたがお客に販売するものはお客が欲しいものです。もしお客があなたの商品ではなく、他社の商品を欲しいと求めてきたらそれを販売しなければいけません。お客が欲しいものを取りそろえるのです。あなたのコダワリは一切不要。

お客が欲しいと思えるものを取り揃えるのがお客に豊富さを提供する事になります。
※取り揃えるのは売れ筋でなければ、在庫コストが上がる為 注意しなければいけません。

4. 早さ

ファストというのは現在では非常に重要なポイントになってきています。お客はせっかちです。Amazonで本を買っても、場所にもよりますが当日や翌日に配送をしてくれますよね。

またQBハウス。1,000円のヘアカットですが、10分で終わらせる早さ。忙しい・時間のないビジネスマンが求めていたサービスです。

これらのようにお客は早く商品・サービスの提供が欲しいのです。ロイアリティを上げるポイントとしてあなたのビジネスで何か早く出来ないかということも意識してみましょう。

5. 気軽さ

インターネットショッピングやコンビニは気軽さの代表ともいえます。ネット通販では家にいながら買い物ができますし、コンビニに行くときもラフな格好でサンダルとかでも行けます。

気軽に買えるから沢山のお客が毎日利用できるのです。これが遠いとか、しっかり化粧などをしないといけないとか、誰かと一緒に行かなければいけないとかだと、気軽ではありません。より気軽に購入できるというのもお客は求めています。

ストアロイヤリティーを実現するための手順

まずお客が困っていることを羅列しましょう。そして重要な順番に並べ替えます。あなたの商売で出来ることを1つずつ。そして確実に解決していきます。今回お伝えしているように、あなたが売りたいものを売るのではなく、お客が欲しいものを売るのです。

ですので、お客の根本的な悩みを理解し、それに対してあなたが出来ることを1つずつ確実に提供していくことであなたがお客に選ばれる存在になります

まとめ

この本当の意味での「お客の為」を理解することが出来れば、あなたの行動は必ず変わります。大手企業が実際にサービスを展開している例でご説明しました。あなたも少なからず何かは大手企業のサービスを受けていると思います。個人商店は潰れ、大手企業が生き残るのはその資本力だけではありません。

お客が本当に求めていることを独自のネットワークと資金力を使って実践しているから生き残っているのです。そして多くの個人商店、中小企業が結果を出せないのは、上述したような「お客の勉強」を全く出来ていないから

今回の内容は大手でなくても実践することが出来ます。これを理解・実践することで、あなたの事業は必ず変わりますのでチャレンジしてみて下さい。