結果が思ったようについてこない経営者には共通の間違いを犯している傾向があります。

その間違いについてもちろん大学なんかで学ぶことは出来ません。独立する前に会社に勤めていたときも、また先代の社長からも、教えてくれる人はいません。また多くの日本企業や経営コンサルタントはこの間違いをあたかも常識のように教育し、実践しています。


もしあなたが、現在 努力しているにもかかわらず、思うような結果が出ていない場合、これから指摘する間違いを知らず知らずのうちに犯している可能性があります。

これらは一般的に世間で言われる常識と逆の部分もあり、簡単には受け入れられないかもしれません。しかし、もしあなたが現状を打破したい、売上の限界を突破したい、変わりたいというならば、余計な偏見を持たずに素直に受け入れてみてください。

根本的な間違い

1.作る立場・売る立場で物事を考えている

根本的な間違いとして、多くの経営者たちは自社の商品・サービスを自分たちの作る立場・売る立場にたって考えています。口ではお客の為にといいながら、実際にやっていることは真逆です。

この商品は画期的。このサービスは市場にない。絶対にこれは売れる。と考えていたら立ち止まって、このように考える必要があります。


それはお客が本当に欲しい商品なのか?
それはお客が買える価格なのか?


いくらあなたが素晴らしいと思っている商品・サービスであっても、お客がいらないと感じてしまうものは絶対に売れません。

商品開発に情熱をそそいで来たあなたは、自らの信念のもと、これは素晴らしいと考えがちですが、本当にお客が必要なもの、欲しいものなのかを改めて考える必要があります。


そして、もっとも重要なことなのですが、それはお客が買える価格なのかということ。


例えば、

厳選したコダワリの素材を使った料理。希少性のある素材や安定的に生産するのが難しい素材。これらの特別な素材を使い、世界でトップクラスに入る料理人が時間をかけて作った料理は美味しいに決まっています。

しかし、その価格は非常に高いものであり、誰でも気軽に楽しめるというものではありません。富裕層を除いて、1年に1回 行くか行かないか。一般的に一生に1回いくかどうかというものですよね。




お客の予算を考えず自分のコダワリだけを考えてビジネスをしている経営者は少なくありません。これは2日目で「お客の勉強」にて更に詳しくお伝えしますが、お客が使う立場・買う立場になってビジネスを運営していく必要があります。

2. 気合いと根性は一切 不要

日本の少し歴史のある中小企業やイケイケのベンチャー企業でありがちなのは、とにかく気合いと根性で何とかしようという傾向があること。

昨今ではブラック企業という言葉も頻繁に使われるくらい、社長だけでなく従業員までもが長時間労働をして、とにかく何とか売上を上げることに必死な中小企業は少なくありません。




これは戦後から高度成長期を経て成長を続けてきた日本ならではの概念のせいで、このような根性論が出てしまいます。

1970年-1980年。日本は高度成長期まっただ中で、働けば働くほど売上を上げることが出来ました。テレビCMでジャパニーズビジネスマンに向けた「24時間働けますか」という言葉が出てしまうほど、とにかく長時間労働することが成長であり、美徳なようにも認識されてしまいました。


なぜ当時はそのような長時間働いて成長することが出来たのか?
単純なことです。この時代はライバルが少なく、競争がすくなかったから、働けば働くほど結果が出たのです。


釣りで例えるなら、池に魚が沢山いて、釣り人があなたしかいない状態。入れ食いですよね。こうなると、頑張って長時間 釣りをすればするほど、沢山の魚は釣れます。

しかし、時代が進み沢山のライバルが市場に参入してきます。日本企業だけでなく海外企業も参入。釣り人がとにかく増えてきます。釣り竿ではなく、素潜りで魚をとる人や網を使ってくる人が出てくるということです。

こうなると何が起きるか?
「魚がいなくなる」です。

一昔前は釣り人も少なく、魚も沢山いました。しかし現在では沢山の釣り人がいて、魚もいないような超競争社会になっています。このような状態で気合いと根性だけで長時間働いても成果は出ないのは当然の事。



頑張っても頑張っても結果が出ないのは、競争が激しい社会でいつまでも同じようなやり方でビジネスを運営しているからです。

ではどうすればいいのか?釣りのプロはこのような状態だと何をするか?
「釣るポイント(場所)を変える」です。


現状がダメなら変えるしかありません。それを気合いと根性で何とかしようとするから疲れてしまい、従業員だけでなく、あなたも仕事が嫌になってしまうのです。この変えるということは3日目の「チェンジ思考」にて詳しくお伝えします。

3. 感性やアイディアは不要

ヒット商品を作る、ビジネスを上手く運営するためには特別な才能や感性が必要だと思われがちです。

稲森さんや孫さん、またはイチローのような才能やセンスを持っている人たちはごく一部です。しかし想像すれば分かるように、上手くいっている経営者のすべてが才能に恵まれていたり、感性が優れているわけではありません。


では上手く経営する為には何をすればいいのか?

才能のある人の体験を聞いてもダメです。ごく一部の才能ある人たちのセミナーや自叙伝を読んだときに一時的に感銘を受けると思います。そして、いざそれを行動に移そうとしても非常に難しいのです。

なぜならその人は特別な才能を持っているから。その人しか出来ない(実現することが出来ない)体験を聞いても実現することは出来ません。あなたが学ばなければいけないのは、上手くいっている多くの経営者が実践している絶対的な経験法則です。

これは、その時代に合った誰でも出来るやり方で事業を運営していく方法であり、素直に学び・実践さえすれば上手くいく確率は高くなります。



オリジナルや独創性は不要


突発的に思いついた上手くいくかどうか分からないアイディアを実践するより、他の人が既に実践している上手くいっている方法をマネする、参考にしなければいけません。



例えば、

あなたがはじめてスキーをする場合

1. スクールに通わずリフトに乗ってとにかく実践あるのみで滑る。
2 プロのスキーインストラクターに教えてもらって正しい滑り方(上手く滑れる方法)を習得してからとにかく実践(滑りまくる)する。

どちらが上手に滑れるようになるでしょうか?

スポーツや習い事に関しては上手くいっている人のアドバイスを素直に求め行動できるのに、ビジネスになると独自のアイディアやオリジナリティをひねり出し、実践する経営者は少なくありません

経営者を目指す、経営者になっているくらいなのだから、自分に自信やプライドがあるのは分かりますが、スポーツもビジネスも同様、最初は上手くいっている人・会社の模倣をすることが重要です。

スポーツとビジネスの違いは、スポーツは失敗しても生活に大きな影響を与えませんが、ビジネスは失敗すると自分以外の人たちも含め生活に大きな影響(最悪の場合 自殺など)を与えてしまいます。




ビジネスとは科学である


2つの水素分子(H)と1つの酸素分子(O)を結合させたら水(H2O)が出来たり、青色リトマス紙に酸性の液体をつけると赤色になるように、誰が実験しても同じ結果になるのが科学です。

これはビジネスでも同じこと。上手くいくには上手くいくやり方があり、それは誰が実践しても同じ結果(上手くいく)になります。同様に上手くいかないのは、誰がやっても上手くいかない方法を実践しているから。この原理原則をまず理解しなければいけません。

上述していますが、必要なのは才能やセンス、また気合いと根性ではないのです。誰がやっても上手くいく方法で、ビジネスを上手く運営すること。上手くいっていない経営者が根本的に変えなければいけないのはこの考え方になります。




ダメなら今すぐに変えよう



もしあなたのビジネスが現在 上手くいっていないのであれば、上述したように上手いかない方法を実践していることになります。

それなのになぜ気合いと根性を入れて、さらに頑張るのか?

あなたはすでに沢山の努力をしていると思います。四六時中ビジネスのことを考えたり、睡眠時間を削ったり、家族との時間を犠牲にしているかもしれません。ですが、頑張ってもダメなやり方をしている限り、結果はダメなものがついてきます。

必要なのは変えること。上手くいっていなければ、上手くいくやり方に変えることが大切です。何を具体的にどう変えるのか、これは3日目の「チェンジ思考」にて詳しくお伝えします。

よくある勘違い

経営者の根本的な間違いに続き、多くの経営者が犯しているよくある間違いについても説明したいと思います。これらの間違いはビジネスでは一般的に頻繁に言われていることである為、もしかしたらあなたにとっては非常識なことかもしれません。

しかし、あなたが現在 以下の事(一般的には常識といわれているもの)を心から信じ、実践しているにも関わらず上手くいっていないのであれば、実はその非常識が本当に上手くいく方法なのです。


1. 付加価値をつければ売れる

日本の企業は常に付加価値といいますが、付加価値をつければ売れるというのは間違いです。

例えば、日本製の家電をイメージしてもらえれば分かると思います。テレビのリモコンは今や訳が分からなくなるくらい、多数のボタンがあります。そしてそれを完璧に使いこなしている人は極めてすくなく、多くの人は普段使用する機能しか使いません。

また同様にスマホにおいても、様々な機能があり一般的な電話という機能と生活に必要なもの以外の機能までもがついています。
無駄な機能を(付加価値)つけて、他社との差別化を図ったが為にその生産コストはあがり、販売価格も上がっています。




付加価値を追い求めた日本メーカーの衰退



電子機器が分かりやすい例なのですが、多くの日本製の電子機器は沢山の付加価値がついています。一方 韓国の電子メーカーのSamsungやフィンランドのNokia。これらの商品ラインナップでは、お客が必要としている価値・機能を重点において販売している為、業界で多くのシェアを獲得しています。

日本のメーカーの家電は海外では完全に蚊帳の外で、販売の中心になっているのは、必要な価値を搭載し、お客が買いやすい価格で販売しているこれらの海外メーカーです。

2. 良いものは売れるという考え

あなたは経営者、起業家としてあなたが取り扱っている商品・サービスに絶対的な自信を持っていると思います。苦労して作り上げた商品やサービス。自信を持っているほどの良い商品・良いサービスであるから、絶対に売れる。

このように信じている経営者・起業家は非常に多いです。良いものということだけでは売れません。



お寿司屋さんの例を挙げると、なぜ町の寿司屋は潰れていくのに、回転寿司は行列ができるほどお客がくるのか?

一般的にカウンターの握り寿司のお店の方が良い商品やサービスに決まっています。だけど潰れる。一方、大して美味しくもない回転寿司には多くのお客が訪れる。


理由は簡単です。

多くのお客が味はそこそこでも、価格が安い回転寿司を求めているからです。握り寿司だと1回1万円-3万円かかるところもザラではありません。これだと頻繁に行くことは難しい。

一方、回転寿司だと、ファミリーで行っても4,000円-5,000円。月に一回くらい普通にいけます。絶対的に味は握りずしやの方がよいが、回転寿司やが選ばれるのは、良いものが売れるとは限らないと証明しています。

お客が欲しいかどうか。これだけです。



3. 売り切れ御免!行列ができて大満足!

ラーメン屋を筆頭に行列ができるお店というのは素晴らしいと考えられがちです。

日本人は行列に並ぶのが好きなのかラーメンを1杯食べる為に1、2時間 待ったりしますよね。また売り切れ御免と満足そうに掲げる店長や経営者もいます。


行列ができるということは、お客を待たせるということ
売り切れが出るということは、お客が買えないということ


もしあなたがよく利用するコンビニが、レジでとにかく待たせる。また頻繁に欲しいものが売り切れているという状態であれば、そのコンビニに通い続けるでしょうか?

もし店のとなりに、レジで待たせない、欠品していないコンビニが出来れば、すぐにそちらに変えるのではないでしょうか。




ビジネスはお客に支持されるから継続できるのです。行列ができたり、売り切れて満足しているのはあなたが作る立場、売る立場で考えているから。お客が使う立場、買う立場になって経営をしないと、長期的な視点でお客から支持されることは出来ません。

4. ニッチを狙っている

多くのコンサルタントはニッチな市場を攻めろとアドバイスをしますが、これは間違い。多くの経営者・起業家はニッチだけをみて、支持人口をみていません

ニッチというのは隙間であり、対象となるお客が少ない場合があります。少ないお客に対して商品・サービスをそろえると、取扱品目数が増え、在庫が増えてしまいます。

サービス業では、多くのニッチに対応する場合、様々なサービスを用意しなければいけない為、人件費やマネージメントに不具合が出てきます。



ニッチではなく、お客のライフスタイルに合わせる


時代が進みお客のライフスタイルは多様化しました。例えば、あなたが整体などの治療院を経営しているのであれば、あなたの商圏のお客のライフスタイルを明確にします。

高齢者が多い地域では、訪問スタイルと取ることも出来ますし、会話・つながりを求める高齢者向けのコミュニティを作ったうえでの治療という形でも展開出来ます。

ニッチではなく、多くのお客が悩みを抱えていて、まだ誰も手を付けていないマーケットがあります。その攻め方については5日目のコンセプトの作り方にて詳しくお伝えします。

5. お客の為にと口では言いながら、お客の為になることをしていない

「お客の為に」というのは朝礼で伝える心構えや口先だけの言葉ではなく、具体的な行動として示さなければいけません。

例えば新規のお客ばかり割引をして、常連のお客にはほとんど割引をしない。

お客の為にと言いながら、取り扱っている商品がお客が簡単に使えないものであったり、必要以上の機能がついて値段が上がっているとかは頻繁にあります。

また、お客の為にといいながら、販売価格がお客が買いやすい価格ではなかったり、お客が買える価格にする為の、仕入先、物流、販売経路の見直しをしていなかったり。



本当にお客の為というのであれば、パンしか売っていないパン屋ならサラダとスープを一緒に販売したり、肉屋ならすき焼き用の肉だけではなく、すき焼き用の野菜や玉子も一緒に販売するべきです。

このように具体的な行動が本当の意味でのお客の為にとなります。

6. 人格・キャラが絶対に大切だと思っている

歌手、俳優・女優、コンサルタントなど、自分自身を商品として活動をするタレントビジネス以外では、あなたのキャラや人格はお客にとってはそれほど重要ではありません

優れた人格であることに越したことはありませんが、ビジネスの成否に影響を与えるのは人格やキャラよりもあなたが「お客が欲しいもの」を提供しているかどうかということです。



例えば、素晴らしい人格を持ったセールスマンであっても、胡散臭い幸せを呼び込む魔法の壺を売ることは出来ません。

とてもキャラのいい飲み屋の大将が、とにかく不味いつまみを出し続けて来たらお客が離れていくのは当然の事です。


お客は節操がない



あなたのキャラ・人格のみでお客との関係を維持できるほど、お客はお人よしではありません。お客が欲しいものを欲しい価格で提供しており、そのうえであなたのキャラや人格でお客との関係が更に深まるのです。

そもそもお客との関係というのは、お客が受け取る価値によって形成されます。タレントビジネス以外では、あなたよりも先に、お客が欲しいものを提供することを意識しましょう。

7. 売れなくなったら広告・販促する

どうしても売上が上がらないからといって販促を増やす経営者は少なくありません。

販促をするというのは確かにお客があなたの商品・サービスを目にする頻度が高くなり、購入してくれる可能性も高くなりますが、「売れなくなった」というのはお客が離れていったということです。

その離れていった原因が「単にあなたの事を忘れた」というようであれば、販促・告知すれば問題ありませんが、離れていった原因が別にある場合はそれをまず解決しなければいけません。


売れないというのは、買われないという事
お客が(欲しくないから)買わないと言っている事


お客が欲しくないということを解決せずに、販促・告知をしてしまうと、あなたの商品・サービスのアラが更にお客に露呈することになります。販促するときは売れている時です。売れなくなったら販促するというのは間違いですね。販促の正しい順番を理解しましょう。

8. お客の高級思考が強くなったと思っている

時代が進みお客自身が豊かになるにつれて、お客の商品・サービスに対する高級思考が進んでいると勘違いしている経営者は沢山います。

その勘違いにより、自分が扱う商品・サービスを高級化して一部の富裕層をターゲットにして、結果を出せない人が後を絶ちません。

ここでの間違いは、お客の高級思考は前からあり、最近になって進んできたものではありません。正しくは時代が進み、国が豊かになり、高級なものが安く手に入るようになったということです。



例えば、

東南アジアにある日本のラーメン屋さんは高いです。1杯 700円ほどします。しかし、日本にある日高屋、餃子の王将はどうでしょうか。ラーメン1杯300円くらいと、とても安いですよね。安いから好きなだけ食べられる。




豊かさとは高級ではなく、豊富さのことである



高級なカバンや服を1つしか持っていないと、毎日それを身に着けることになりますよね。周りから見ても、「あいつはいつも同じ服を着ている、同じカバンを持っている」と思われたりします。

しかし、そこそこ品質の良いものを沢山持っていると、毎日 選ぶこと、変えることが出来ますよね。だから現在ではユニクロ、ZARA、H&Mなどのファストファッションが一番伸びています。

流行は毎年変わりますから、頻繁に買える価格帯や品質でなければいけない。これがお客の為ということでもあります。

だから、お客の高級思考という言葉に惑わされ、高級な商品・サービスをただ単に高く売るのではなく、「豊富さ」をお客に提供することが正しい時代の読み方となります。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は初回の講座で多くの経営者・起業家が犯している過ちについてご説明させて頂きました。一般の新聞や雑誌で言われていることの多くを否定する内容になりましたが、

現在 伸びている大手企業は中小企業時代に必ずこの戦略を取っていました。セブンイレブン、ダイエー、ユニクロ、ZARA、シマムラ、かっぱ寿司、吉野家、マクドナルド、QBハウスなどなど。大手企業が大手になったゆえんは本日ご説明させて頂いた通りです。




大手企業は資本力があるだけでなく、あなたよりも入念にリサーチをしていますし、色んなトライアンドエラーをしています。またお客についてもよく知っているし、行動した結果の観察・分析・判断を正しくしています。

会社の規模ではなく、お客の為にするビジネスとして、大手が実践している原則をこれからも学んでいきましょう。