中小企業の間違い

日系企業が失敗する理由

あなたはお客の事を考えて商品を提案することが出来ているだろうか?


お客やマーケットの事を考えずに自社の商品がいかに素晴らしいかをプレゼンする中小企業は少なくありません。

現在、私が活動するタイでは日本の商品が次々と市場に送られてきています。大手化粧品ブランドや時計ブランドは広告費をふんだんにかけてあちらこちらで告知しています。

大手企業のおかげで、日本の商品が市場で認知をされその品質の高さから日本の商品に対する信頼は高い状態です。

またチェーンストアも増えてきましたね。セブンイレブン、ユニクロ、大戸屋、丸亀製麺、吉野家、ダイソーなど。ショッピングモールには必ずと言っていいほど入ってきています。


今まではタイは自動車関連をはじめとする製造業の進出がメインでしたが、小売り業・サービス業も増え始めてきています。

そして注目すべきは多くの大手企業がしっかりとタイの市場に合わせた商品・サービス展開をしているということです。


大手企業の戦略

タイのマクドナルドの事例

分かりやすい例がマクドナルド。

マクドナルドもタイでは至る所にあり、多くのタイ人がそこで空腹を満たしています。日本と同様、そこで時間をつぶしている若者も少なくありません。

人気メニューというか、定番メニューが何かというと、ガパオという、肉を辛く炒めたものと目玉焼きとライスが一つの皿になっているもの。更に、ケンタッキーか?と思わせるほどフライドチキンを押しています。以下の写真の通りです。

マクドナルドが米


これはコンセプトがブレているというわけではなく、タイ人の好みに合わせたメニューを提供しているということです



お客が欲しいものを提供する

マクドナルドのような世界的な大企業はお客に合わせた商品を作っているのです。
※ちなみに吉野家でも「辛い」牛丼がメニューに組み込まれています。



タイ最大手のTV通販会社の事例

また、先日 タイで最大手のテレビショッピング会社に行って来た時の事。

このテレビショッピング会社は日本の代理店と2年ほど前に契約し、これまではタイ、中国、韓国、ドイツなどのヘルスケア商品、エクササイズ商品、キッチン商品などを販売していましたが昨年から日本の商品が増えてきたとのことです。


多くの日経企業がつまずく原因

この会社によると、日本の商品は最初は上手くいかないそうです。なぜなら、確かにタイのマーケットでは日本で売れた実績のある商品、日本で人気だという商品は市場に受け入れられやすいんです。

これは上述した大手企業の宣伝活動によっての日本ブランドが確立しているから。

普段、高速道路や高級ショッピングセンターや駅の看板広告で見かける「日本」というブランドがテレビショッピングでお茶の間でセールスされるわけですから、中間層以上のタイ人は注目してしまいます。



しかし売れない。

売れないというのは数が売れないという事。その原因は価格です。このテレビショッピング会社に持ち込まれる日本の商品はとにかく高い。日系中小企業は日本でうまくいった商品、戦略をそのままタイにもってきて実用しようとします



上手くいくわけがないんです。

例えば韓国のコスメと日本のコスメの場合。韓国系の企業は例えば美白用の化粧品をテレビショッピングで販売するときに、価格はお手頃なのはもちろん、沢山のオプション(オファー)をつけてきます。

一方、日系企業は美白用の化粧品単品のみ。しかも価格がはるかに高い。これはコスメでなくても、他の商品でも大体同じだそうです。あなたが自分で購入する場面・立場で想像してみたらわかると思います。

そして売れないと実感してから、そのテレビショッピング会社によってタイの市場用にカスタマイズされていき売れる商品へと変えられていくのが一般的だそうです。



お客の事を考えていない日系中小企業

日本品質というのは確かに素晴らしい。タチの悪い中国業者の場合、商品の50%が不良品だということもあります。とはいえ、付加価値という名目で品質を過剰に上げて、お客が買えない値段で市場に提供するというのは、自分で自分の首を絞めているということ。

超高品質を求める一部の層には受け入れられますが、それ以外の顧客層には受け入れられずに「売れない、売れない・・」と頭を悩ませ、売り方ばかりを考えてしまう。

中小企業が上手くいかない原因はここにあります。



ライフスタイルを売っているか?

あなたが売らなければいけないのは商品ではなく、お客のライフスタイルです。

あなたが高付加価値商品を高い価格で富裕層だけに売るのは間違っていません。それは富裕層達が普通に買える価格で、彼らのライフスタイルに貢献しているから売れます。

フェラーリとサラリーマン

しかし、フェラーリが年収300万円のサラリーマンにバンバン売れるのか?ということ。ごく一部のフェラーリ好きのサラリーマンは購入するかもしれませんが、大多数は買えません。



ロハスと一般食生活

フェラーリのような高額商品でなくても、オーガニックパンではどうでしょう。

いくら「無農薬で健康にいい」とかいっても1個 500円もするパンを毎日食べるのは、それをライフスタイルにしている顧客層のみ。ごく一部です。

これは富裕層という意味ではなく、無農薬で健康に良いものに関しては大切なことだから少々の費用が掛かろうがお金を払ってもいいとう価値観を持っている人たちの事です。これがライフスタイルです。


一方、一袋 90円の菓子パン・食パンであれば、毎日家族で朝食・昼食に食べることだって出来ます。こちらの方がより多くのお客に購入され、売上・利益額も高くなります。




これは安売りをしろという意味ではありません。

いくら良い商品だといって、お客が買えないものをお客に提案して、あなたが期待しているほど「売れない、売れない・・」と頭を悩ませるのは、そもそもの考え方が間違っているという事です。

お客が買えない価格で商品を販売し、売れないと頭を悩ませるか、お客が欲しいものを欲しい価格で販売できる仕組みを作りあなたのビジネスを軌道に乗せるかどうか。選択するのはあなたです。



まとめ

この大手企業が実行している原則を、中小企業も活かさなければいけません。

「上手くいかなければ変える」

もしあなたの会社が思ったよりうまくいっていないのであれば、「今すぐに変える」という選択肢を選ぶべきではないでしょうか。気合いと根性でなんとかするのはビジネスではありません。

投資と回収のサイクルを仕組化し、オペレーションを標準化することが経営者としてしっかりと判断し実行することです。