経営とは何でしょうか?
・売上を上げること
・人を雇うこと
・世の中を驚かせる
・社会への使命を全うすること
・夢
・ステータス(見栄)
・ライフワーク(趣味)
・・・etc
人それぞれ考え方があり、とても広いテーマです。今回はその中でも、財務戦略の観点から経営を考えてみたいと思います。中小企業経営者が最も苦手とするのが財務戦略、だと言われています。会社の成長のために財務戦略が必要な理由を、わかりやすくご説明します。
1. 経営の本質とは
経営の目的と問われれば、答えは人それぞれかもしれません。しかしどんな目的であっても、経営活動というものの本質は同じです。財務戦略の観点から経営活動を言葉で表現すると、次のようになります。
経営とは『継続した投資と回収の仕組み』である。
「投資」→「回収」→「再投資」→「再回収」・・・この繰り返しが経営活動です。
円の大きさが経営規模であり、
・同じ大きさ・・・現状維持
・大きくなる・・・成長
・小さくなる・・・衰退
・輪が止まる・・・倒産
ということを意味します。「投資」→「回収」によって利益を生み出し、さらに大きな「再投資」をおこないます。投資のターゲットのこと、回収の方法など、会社の成長のためには欠かせない戦略です。しかし、しっかりと戦略を練っている経営者はほとんどいません。
2. 「財務=売上」という間違い
中小企業経営者は【売り方】が大好きです。どうすればうまく売れるか、すごい売り方のテクニックで頭が一杯です。そして「財務状況が悪い」と聞くと、「売上がかんばしくない」とイメージします。財務のことはよくわからないので「財務=売上」ぐらいしか思い浮かばないのです。
財務戦略がない
中小企業の経営者の多くは、経営を『継続した投資と回収の仕組み』と認識していません。財務戦略が苦手というよりは、考えてもいません。考えてもいないのですから、苦手どころか、“財務戦略がない”のです。
なかには、「売上高を上げること」と「銀行から上手く借りること」が財務戦略だ、と勘違いしている経営者もいます。
売上高を上げることに必死
資金難に苦しむ経営者の多くが、売上を上げれば解決すると思い、営業力(販売力)を強化しようと考えます。しかし残念ながら、これは解決策ではありません。売上高を営業力で上げようとすること、売上高が解決策だと考えること、残念ながら両方とも間違いです。
売上高を上げようとしてうまくいかないパターンを見てみましょう。
〈例〉
・売上アップになりそうなことを現場にさせようとする
↓
・労働時間の増加
↓
・経費の増加
(販促経費、営業経費、接待交際費など)
↓
・忙しくなるだけで利益が出ない
↓
・事態が悪化する
↓
・再投資する余裕がない
仮に売上高が上がったとしても、利益の確保が約束されるわけではありません。それでもなお、「今は我慢して耐える時期だ。後できっと笑える時が来る。」と頑張っても、報われることはないでしょう。売上高は利益を確保し得る方法の1つにすぎないのです。
売上が伸びない原因
売上が伸びない原因は、財務戦略ではありません。売上を上げるのは商品戦略と経営戦略です。経営者の決めた、商品戦略と経営戦略が良ければ売れるし、悪ければ売れません。現場の売り方やテクニック、努力はほとんど関係ないのです。
3. 財務戦略とは
『継続した投資と回収の仕組み』のための財務戦略とは、資金の調達と運用を戦略的におこなうことです。
先述していることをふまえて理解しておきたいことは、売上高は大事ではないということです。いくら売上高があったところで、利益がなければ運用はできません。
利益が出る正しいパターンを見てみましょう。
〈例〉
・適正な経営戦略と有利な商品戦略
↓
・そのための財務戦略
(値決め、仕入れ、在庫管理など)
↓
・粗利益高のアップ
↓
・ローコストオペレーションの実施
↓
・利益の確保
↓
・再投資する余裕ができる
財務戦略は多岐にわたりますが、その一例です。同じ売上高であっても、仕入れやオペレーションのコストダウンで、利益を確保できることがあるのです。
利益が出ないとき、安易に売上を上げるテクニックに走ってはいけません。売上高は、あればいいですが、利益が出ていないと意味がないのです。
4. まとめ
財務戦略は他にも、
・総資本対経常利益率(ROI)
・生産性
・分配率
など、具体的な数字を使います。どれもこれも会社の成長にはかかせません。細かな解説は別の機会にしますが、「お金の絡む戦略はとっても大事」と覚えておきましょう。
経営とは『継続した投資と回収の仕組み』です。
当然ですが、財務と経営は切り離せませんし、切り離して考えるべきではありません。自社に財務戦略はあるのか、あるとしたら十分な戦略と言えるのか、考える時間をとってみてはいかがでしょうか。