いくら言っても伝わらない。タイで働く日本人社員はタイ人スタッフたちに日頃から指示をしているけれども、なかなか理解してもらえないと頭を悩ませています。私もそのうちの1人でした。
私は現在ではタイに来て4年目です。タイ語も仕事で使える程のレベルではなく社内での会話は主に英語を使っています。英語が話せるくらいのレベルのタイ現地社員を雇っていますが、上司の指示の理解となると日本人とはまた違った商習慣を持っているのでなかなか理解をしてくれませんでした。
そもそも国が違えば商習慣が違うのは当たり前だし、日本の価値観を押し付けても絶対に話を聞いてくれません。タイ人を理解し、どのようにすれば伝わるかを考えるのは話し手の責任だと思います。
本日はタイ人スタッフたち(主にオフィス社員)にどのようにしたら伝わるコミュニケーションやマネジメントが出来るかについてお話していきたいと思います。
そもそも話を聞かないヤツは聞かない
日本の社員の場合
これを言っては元も子もないないように思うかもしれませんが、日本にいる日本人でも同じではないでしょうか。話を聞かないやつは聞きません。日本でも、「団塊の世代」「ゆとり世代」「悟り世代」などで仕事に対する価値観は一般社員レベルでは違いますよね。起業家・経営者レベルではそこまで大きくは違わないと思いますが。
団塊の世代ではモーレツ社員と言われたくらいとにかく仕事に一筋。上司の言うこともひたすら聞くような文化でしたが、今の時代では仕事とプライベートのバランスを重視する風潮がありますし、上司との距離も以前とは違うでしょう。
これは価値観なので良い悪いではありません。上司の立場として部下たちに成長してほしい、仕事をしっかりと全う出来るようになって欲しいという気持ちはよく分かります。でも上司の話を聞かないヤツは聞きません。
タイの社員の場合
タイでも最近の日本人社員と同じです。日本の団塊の世代のように仕事が人生において一番と捉えている人は少数派で、むしろ近年の日本人と同じように人生を楽しむ傾向が強いです。
しかし、一方で仕事に対して前向きな社員もいます。これも日本と同じ。タイ人全員が全員 サバイサバーイ(お気楽な感じ)ではなく、一定数で自己の成長を望んでいる社員もいます。タイでも独立願望のある人は多く、日本と同じように起業家思考な人たちもいます。違いは起業に対しての考えの甘さですけどね。。
話を戻して、上記の理由からタイ人だから話を聞かないというわけではありません。
そもそも聞く準備が出来てない
よく言われるようにタイ人はプライドが高いです。人前で怒られる事を嫌いますし、自分は言われなくても仕事が出来ると思っています。
そんなプライドの高い人、自分の仕事が上手く出来ていると思っている人に、上司だから話を聞けといっても無駄です。表向きは聞いているフリをしているだけで心まで伝わっていません。これも日本人と同じですよね。
聞く準備が出来ていない人に何を言っても伝わりません。では どうやって伝えるのか?ここからが重要なポイントです。
タイミングが重要
求めていない人に与えても無駄なので、相手が求めて来るまで待ちます。弊社でも仕事でミスをしないように、お客に迷惑がかからないようにしっかりと教育をしているつもりですが、失敗はどうしても出て来ます。失敗しない人はいないですから。
その失敗した時にスタッフがどう捉えるか。
失敗してもケロッとしているヤツはダメです。また他人の問題にするヤツもダメ。成長の見込みがないので時間を割くだけ無駄です。
反対にお客に怒られて反省していたり、ションボリしているスタッフ。こういうタイミングは伝わりやすいです。この時に怒ってはダメで、次はどうすれば良くなるか、また反省している事自体が素晴らしいと褒めてあげる必要があります。子供への教育と同じです。※ 社員教育を怠りわざと失敗させるのはダメです。自社のスタッフ育成の為にお客を利用するのは言語道断です。
あとはスタッフが本当に悩んでいる時とかも伝えるのには良いタイミングです。
誰が言うかが重要
人によって伝わり方が違うというもの日本と同じ。「あなたの言っている事は正しいが、聞きたくない。」という事があるように人間は感情の生き物です。
何をどういうかより、誰が言うかの方がタイでは効果が発揮しているようです。日本に比べて、更に年功序列ですし目上の人を敬う文化ですので。また権力にも弱いです。
あなたが伝える場合
大前提としてあなたがタイ人スタッフたちに「心から受け入れられている」事が重要です。ある日本人駐在員はタイ人とハッキリ距離を置いているケースもあります。社員旅行で日本人だけがゴルフに行ったりするとか。挨拶もせず仕事以外での会話をしようとしないとか。
あなたが受けれられていない場合は全くと言っていいほど伝わりません。これは普段からの行いですよね。あなたが仕事だけでなく「人として魅力的」である方がタイでは特に重要です。
他の人が伝える場合
あなたが社員全員から好かれているというのであれば、あなたが伝えても問題ありません。しかし、全員から好かれるというのも実際は難しいものです。また社長は社員から好かれる事を目的として活動をしてはいけません。
人によって誰が伝えるのかを考えます。弊社でも私の事を「100%受けて入れてくれるスタッフ」と「そうでないスタッフ」がいます。別に好かれていなくても良いのですが、私は全員に正しい事を伝えなければいけません。
その時に私に好意を持っていないスタッフに対しては、その仲の良いスタッフにさりげなく代弁してもらうようにしています。スタッフに聞く準備が出来ている、またタイミングが合っていれば伝わります。
あなたは社長として社内に良い通訳者が必要です。通訳といのは単なる言葉の通訳ではなく、想いを伝える通訳者です。このポジションのスタッフがタイだけでなく日本でも重要だと思います。
価値観を共有する・基本的にルール化する
あなたが社長として最も大切にしている事。社員には絶対に守ってほしい事はルール化します。それが社風であり会社のスタイルです。毎回別の社員に同じ事を言うのは労力の無駄ですからね。
弊社では「言い訳する事」、「嘘をつく事」、「他人のせいにする事」を悪としています。
また「情報は明確に伝える努力をする事」、「レポートは書く事自体がトレーニング」など、意味もしっかりと伝えて、それを文章でいつでも見れるように共有しています。
これはルールとして絶対にやってはいけない事や、やらなければいけない事として最初から徹底的に指導し、もしルールを破ったらどのような罰があるかも明確に伝えています。これは伝わる・伝わらない以前の話で、これが受け入れられなければ弊社では働けないという絶対領域を作ります。
まとめ
タイ人だから話を聞かないと最初から思考停止をするのではなく、どうやれば伝わるかを常に考えなければいけません。また話を聞かないヤツは聞かない。伝え手の努力を最大限にしたら、あとは受け手の問題です。これはタイだから、日本だからとかではないですよね。
海外で働くというのは言葉の違い・文化の違いがありますが、相手をしているのは人間です。人として正しい行い、社長としてやらなければいけない仕事を全うすれば、結果は成るようになります。