モノが売りにくいと言われる昨今、あなたが購入をためらうときの理由は何でしょう?
失敗をしたくない、間違いをしたくない、損をしたくない。みなさんも一度はあることでしょう。思ったほど使う機会がなかった失敗の買い物。思っていた機能が付いていなかった間違いの買い物。他にもっと安いものがあった損をした買い物。
営業マンは目先の売り上げが欲しいので、あの手この手であなたに買わせようとします。その際に、デメリットやリスクになりうることは隠して売り切るのが一般的です。当然消費者は慎重になって購入をためらうかもしれませんし、勘違いした購入者からはクレームが起こるかもしれません。
『実際に30日間使ってみて気に入らなかったら、無条件で全額返金します!』
見たことがあるのではないでしょうか、この魔法のような言葉を。ためらっていた理由が買う理由になり、クレームがなくなり、結果的に利益が増える、これが“保証=リスクリバーサル”と呼ばれるものなのです。
何でもかんでも保証をしていたらウチは潰れてしまう、という声が聞こえてきそうです。そのとおり!今回はこの“保証”の活用方法について説明していきます。間違えばリスクにもなる保証を、強力な武器として使いこなしましょう。
【目次】
1.保証を全面的に売りにした例
2.保証の効果
3.保証をつける際の注意点
4.まとめ
1.保証を全面的にウリにした例
保証とはどのように活用されているのか、まずは実例からイメージしていきましょう。家電などであれば「あれ?これ保証ついてたっけ?」ぐらいかもしれませんが、他にも様々な活用法があります。
30分以内に届かなければ無料!
宅配ピザを日本に定着させたと言っても過言ではないでしょう、ドミノピザの当時の保証です。本来なら遅ければクレームになるところを、逆に30分以降に配達にされて無料になることを期待するお客が多かったそうです。
ドミノピザはUSP(独自のウリ)の例としてよく取り上げられています。他にないユニークなウリを打ち出して売れたとされていますが、中身は“超強力な保証”だったのですね。
日本ではライバルも成熟してもう無料にはなりませんが、他の国でもドミノピザ進出のウリとして30分以降無料を行っています。強い保証は、そのままウリにもできることを覚えておきましょう。
他サイトより高ければ差額の2倍返金!
ホテルを予約するサイトを探していたとします。以下の二つのサイト、どちらで予約したくなるでしょうか?
①「格安ホテル予約」
②「国内・海外ホテルすべて最低価格保証!他サイトより高ければ、差額×2返金!」
②が与えるインパクトは絶大ですね。航空券やホテルの予約サイトであるエクスペディアのキャッチコピーです。CMを見たときにすごいことをするなあと思った記憶があります。世の中で一番安いホテル予約サイトだと思う人も多いのではないでしょうか。
安さを打ち出しておいて他社の方が安いとなると、損をしたとクレームや不満を抱かれてしまいます。しかしこの差額返金保証があることによって、お客は損どころか得をするのではと思うでしょう。
本当は全てが一番安くなくてもお客の方から安い場所を教えてくれるという、サービスの改善を低コストで行えるメリットもありそうです。
2.保証の効果
どんな内容でも保証があればいい、ということではありませんが、保証をうまく使うことで大きな期待ができる効果があります。
圧倒的な自信
特に全額返金保証となれば、商品に相当な自信があるんだな、と思いやすくなります。どうせならハイクオリティなものを手に入れたい買い手の心理に、ストレートに訴えかけるものがありますね。
ためらう理由がなくなる
先述のように、購入をためらう理由として、失敗や間違い、損をしたくないというのがあります。しかし全額返金保証ならどうでしょう?いざとなれば返金してもらえるのですから、失敗のしようがありません。
つまり買わない理由がなくなるのです。そしてライバルが保証をつけていないとすれば、保証のあるあなたから買いたいと思うでしょう。
業務が円滑になる
もともと保証をつけていない商品へのクレームの場合、お互い譲りたくないために双方が激しくパワーを消耗してしまします。しかもどれだけ気をつけていてもクレームというものは、ゼロになることはないと言われています。
では、はじめからクレームがある前提でスキームを組んだほうが前向きにパワーを使えるのではないでしょうか。保証を付けることで、もめるようなクレームが減れば精神衛生上有益かもしれませんね。
3.保証をつける際の注意点
保証というものは、様々な付け方ができます。例えば、
・返品や交換
・修理
・一部返金や全額返金
・有料なのか無料なのか
・期限の有り無し
などなどありますが、間違った使い方をしてしまうと大きなリスクになることもあります。
◇保証目当てのお客を呼び込む
過度な保証は、それを目当てにさせてしまう場合もあるので注意が必要です。
先に例で紹介したエクスペディアは2014.9.14まで差額と5,000円クーポンという保証をしていました。この時には5,000円クーポンありきの利用者がかなりいたそうです。(安いところを探してから予約して5,000円クーポンをもらい、以後繰り返し。悪質だとクーポンを貰ったら予約をキャンセルする猛者もいたそうです。)
◇返品が多すぎて大赤字
これは純粋にマズイです。扱っている商品やサービス自体の見直しを早急に行いましょう。
どのような保証をつけたらどうなるのかは、商品やサービスの内容、同業他社の動向によっても違ってきます。まずはテスト的に小規模で行う方法を考えましょう。期間限定や、ご来店者限定、ネット限定、先行予約限定など、絞り込んでみるとテストしやすくなります。
4.まとめ
保証がないと売れないということではありません。保証をつけたから売れるということでもありません。しかし、うまく活用するとライバルと差がつくかも知れないのが保証なのです。
保証のあるなしで、どう印象が変わるのか、話し合ってみてはいかがでしょうか。