「こんな事も出来ないのか。。」あなたは部下に対してこのように思った事はないでしょうか。マネージャーとしてとても忙しいあなたは、毎日お客への対応や部下からの質問対応に時間が取られているので、出来るだけ早く部下に一人前になって欲しいと思っている事でしょう。
しかし、実際はどうでしょうか。同じことを何度も質問してくる。中学生レベルの計算もろくに出来ない。ちょっと考えたらわかる事を気軽に質問してくる。部下のミスでお客からクレームの電話がかかってくる。などなど。
部下がしっかりと育ってくれないとあなたの時間はずっと奪われていきます。ではどうやったら部下が育ってくれるのか?これについて解決法をご紹介したいと思います。
1. そもそもマネージャーの仕事とは?
部下がどうやったら育つだろう?と考える前に、そもそものマネージャーの仕事のについて理解しなければいけません。マネージャーの仕事とはその名の通り部下をマネージ(管理)する事です。
何でもかんでも自分でするのではなく、部下に仕事をさせてそれを正しく管理するのがマネージャーの仕事。当然のことですが人間 1人が活動出来る量は限られています。マネージャーのあなたがバリバリ自分で営業とかカスタマーサポートとかをやっていたらダメなわけです。
プロ野球で言えば監督やコーチがマネージャー。監督が部長で、コーチが課長という感じでしょうか。プロ野球の監督やコーチは試合でプレーをしないですよね。試合をするのは選手たち。その選手のポテンシャルなり、実力を最大限に発揮するのが管理者の仕事です。
しかし会社組織になると、部長や課長がバリバリに営業している会社もありますが、本質的な仕事は一般の営業社員に仕事をさせる事です。※営業以外でも同じです。
2. 人材・部下の育成は上司の重要な仕事
管理者が自分の顧客対応で忙しかったら、そもそもの部下の育成という仕事が出来ません。多くのマネージャーが部下の育成を軽視しがちです。そもそもこれが間違い。
部下を育成しなければ、ずっとあなた自身が仕事をとったりオペレーションをしたりしなければいけないので組織として機能していません。上述していますが、あなた1人で出来る仕事の量は限られています。部下を正しく指揮して組織として大きな結果を出すのがマネージャーが求められている事です。
3. そもそも優秀な人材はあなたの会社に来てくれない
あなたの会社がとても有名な大企業で、人材の確保がそれほど難しくないというのであれば、次々に優秀な社員が配属され「育成」に関して言えば、それほどの悩みはなくなるかもしれません。
しかし、中小企業では「大企業に比べて」給料も低い、オフィスも小さい、ステータスも低い。更に採用にお金もかけない。こうなると、優秀な社員があなたの会社に来てくれること自体稀な事だと理解できます。
タイで活動する弊社の話
弊社では優秀な社員は簡単には入って来ません。なぜなら人件費に関しては非常にシビアだからです。私のパートナーのタイ人が超ケチなんで。タイにある日系企業でオフィスで働く30代の営業担当者のサラリーはピンキリですが 大体3万バーツ(約9万円)くらいでしょうか。
弊社では3万バーツを超えるサラリーを主張してくる求人には一気にシビアなります。2万バーツ前後(約5〜6万円)で最初交渉しますので。そうなると優秀な社員が入ってくる可能性は極めて少なくなります。
弊社では小学生レベルの計算が出来なかったタイ人の営業担当者がいます。英語がペラペラなので雇ったものの、商品のコストを計算させたら全く出来なかった。。
「りんごが3個あります。りんご1個が10バーツ。物流費用が30バーツ。りんご1個あたりのコストはいくらでしょうか?」これが全く分からないレベルでした。。
そもそも優秀な人材が来てくれる事を前提としていないので、仕事のトレーニングや営業担当者の仕事術に関してはしっかりと指導をしています。上述した算数が出来ない営業担当者にも、りんごやパイナップルで計算問題を何回もさせて 今ではようやく理解しています。英語がペラペラなんで、少々の算数が出来なくても教えたらいいだけだし。
とはいえ後述していますが、弊社の中で提供できる条件内で優秀なスタッフを探す努力はしていますが。
4. 徹底したマニュアル化をする
OJTの問題という記事でも紹介しましたが、部下の育成にはマニュアルが必須です。部下は仕事をしたいけれども、何をしていいか分からないという問題を抱えています。
また1回聞いただけで全てを理解できる優秀な社員はあなたのところには来ません。「同じ事を何度も聞くな!」と部下に言ってしまうと、その社員は分からなくても質問する事が出来ず 結果として大きなミスをしてしまいます。
だから仕事の流れを解説したマニュアルが必要なんです。最低限覚えなければいけない事だけでもマニュアル化しましょう。今ではネットでいくらでも調べられますが、部下たちは「何を調べたらいいかも分からない」のです。マニュアルで調べる範囲も限定してあげなければいけません。
5. 海外でも出来た人材マネジメント
人材マネジメントという言葉があり、それに対しての意味は各企業でいろいろと定義づけているように思えます。人材は企業が成長するにおいて最も重要なファクターの一つです。その意味において、人材のマネジメントは・・
・人材を確保する
・人材を育成する
・人材を活かす
という3つに分類できます。
人材を確保する
弊社では徹底したマニュアル化をもって、人材教育に力を注いでいます。しかし、まったく同じマニュアルを使い、まったく同じように教育をしたとしても、スタッフが出せるパフォーマンスには違いが出てきます。上述しているように、スタッフによっては「こんな事も出来ないのか。。」と思うことは少なくありません。
これは人材の確保の時点で不十分があったと言わざるを得ません。優秀な社員が自分の会社に来てくれることは簡単なことではないのですが、自社が提供できる限りの待遇/条件の中でも最も可能性のある社員を見つける努力をします。これ超重要です。
弊社が実施している人材確保ですが、経験者の中途採用において過去の上司に志願者の信用照会をする為に連絡をとっても良いかと質問します。実際には連絡をしないのですが、自分に自信のない候補者はかなりの確立で拒否をしてきますので採用ミスが起こりにくくなります。※これは弊社で3回目の採用活動時に取り入れました。
人材を育成する
人材育成については上司の重要な仕事です。いくら社員の出来が悪かろうと責任を持って仕事を実施しなければいけません。弊社でも「コイツ。。首にしたい。。」と思ったことは何度もあります。
でも出来る限りの教育とプレッシャーを与え仕事を遂行してもらうようにしています。スタッフが辞めるときは自ら辞めたいと思ったときですね。そんな無茶苦茶なプレッシャーは与えませんが。。今のところまだ辞めたいと言ってきた社員はいません。ありがたいことです。
人材を活かす
上司が言ったことしかしない、出来ない。同じことしかしない、出来ない。部下がそのような状態であれば、上司はその部下を全く活かしきれていません。育成した人材は適所に活かさなければいけません。
例えば、ある部下が海外で仕事をしたいという希望があるのであれば、下積みをさせ、少しずつ経験をさせ、ある時にチャンスを与えてあげる必要があるのです。
人材を活かす為には、上司と部下のしっかりとしたコミュニケーションが不可欠です。部下の希望・強み・性格などを把握し、会社が必要としているポジションに活かす。ポジションがなかったら可能な限り作ってあげる姿勢も必要かと思います。
6. 部下が全く育たない事で起きうる問題
部下が育たないという事は、あなたがずっと面倒を見なければいけないという事です。また、あなただけが会社の売上・利益に貢献することになります。こうなると組織としても目的を達成できないだけでなく、あなただけがずっと忙しいという状態になってしまいます。
また更に、部下が育たないとミスをしてくれます。小さなミスであれば取り返しはつくでしょう。※それなりの労力はかかりますが。しかし、もし簡単に取り返しがつかないほどの大きなミスをしてしまった場合、これは誰の責任か?言うまでもなく部下の育成を怠った上司の責任です。
ミスをリカバリーするのは本当に大きな労力がかかります。だから普段から部下にはきっちりとした仕事をさせる。細かなところでも気にかけるようにさせる。そうやってもミスは起きます。でもミスの頻度は少なくなるはずです。
まとめ
部下の育成は組織の為にも、あなたの為にも重要な仕事です。目の前の顧客対応や経営陣への報告などやる事は沢山あると思いますが、部下が育つ事によって得られるものはとても大きいな事です。部下の育成には時間をかける価値があります。
いつまでたっても忙しい。売上が思ったよりも上がらない。もしこんな風に思っているのであれば部下の育成について見直して見てください。時間はかかりますが必ず大きなリターンがあります。