ユーチューバーに、俺はなる!
新型コロナウィルスの猛威がタイでも大きくなってきた3月の下旬。会社を経営してる立場から「これはヤバい。。」と真剣に悩み、このままではいけないと思い決めた新しい目標だ。
これまでYoutubeは避けていた。
ブログはずっと書いてきたのだがYoutubeは無理だと思っていた。それは手間が恐ろしくかかるというのを知っていたからだ。
※2016年くらいにコピーライティング系のノウハウ動画を何本か作ったから。
再生回数が伸びず、やめちゃいました。
しかし、今の時代 ワンピースのごとくYoutubeにはロマンがあるかもしれない。うまくいけばコロナを乗り越えた新しい時代に、白ひげ海賊団のような大きな影響力をもてるかもしれない。
そんな事を妄想しながら4月13日、ユーチューバーとして(再)デビューをした。
今回のお話はコロナ禍の4月、まるまるYoutubeに時間(思考・作業)を捧げたタイで奮闘する中小企業の社長のお話です。
コロナの影響で働き方が変わる
4月に入り自分の会社でもリモートワークを導入したり、お客さんも在宅勤務をしている人がちょこちょこと出てきていた。
お客さんによっては日本人は工場に入る前にパスポートを見せないといけないというルールを作ったところもあるくらいだった。(日本への渡航歴を確認するため)
これまでは普通に訪問が出来て、飛び込みも問題なく出来ていた営業活動が制限されるようになってしまった。
まじでお客さんの所に行けなくなった。。
アフターコロナではどうなってしまうのか?
経営者として考えるのは、この状況はずっと続くのか?もしくは元通りになるのか?という事だ。コロナの影響でこれまでの働き方の見直しをする企業が沢山出てきている。
タイには日系企業も多く、本社でリモートを導入したからタイでも同様にリモートワークにする所もあったりする。
「コロナ 働き方」で検索をしたら沢山の記事が出てくるので色々と読んでみて欲しい。個人的にもこういう働き方の変化は大賛成だけれども、今後の営業活動がどのようになるのかがまだハッキリと分からない。
コモディティを売っているから
弊社は国際物流という物流サービスを提供している業者だ。そしてタイには約100社の日系の物流業者がある。
売っているサービスはほとんど同じで、完全にコモディティだ。コモディティ商品を扱っている場合、お客が選ぶ基準の多くは価格となる。
実際に弊社も売り込みに行くときは価格勝負で売り込んでいる。しかし、価格勝負だけだと利益が残らず経営的にも辛くなってしまう。だからサービスにも力を入れている。
日本人のお客や物流部門のタイ人担当者さんが使いやすいなと思えるように極力ミスもなく、丁寧に対応をしてサービスを充実させている。価格で新規獲得をして、サービスで継続させるイメージだ。
非対面でどうやって新規顧客を獲得するのか?
飛び込み営業を除いてどうやって新規顧客と接触をするのか?紹介を待っているだけでは成長が鈍化する。かと言って広告をガンガンかけられる程の規模でもない。
もしアフターコロナの時代で、これまでのように働き方が全く変わらなかったら問題ない。これまで通りの攻めた営業をする事でシェアは拡大出来るだろう。
しかしリモートワーク中心になったり、対面の営業がネガティブに捉えられるようになったりすると新規顧客獲得の方法はガラッと変えないといけないのだ。
もしもに備えるのが社長の仕事だ。
ユーチューバーとしてデビューする
Youtubeを見るのではなく「発信する」というのは、副業で既にやっていたり、これからやってみようという人もいるだろう。
取り敢えずやってみるのは大切だが、脳みそを全く使わずにやるとただでさえ労力がかかるYoutubeなのに、とんでもなく大変になる事は目に見えている。
以下に僕がどういう戦略をもってユーチューバーになったかをご紹介していきたい。
テーマ&コンセプトを考える
タイにも様々なユーチューバーがいる。タイでの有名どころではTJチャンネルやデイゼロバンコクがある。そして日本でトップユーチューバーのヒカキンさん、はじめ社長、ひかるさん、ジョーブログなどもいる。
ランチェスター戦略的に言えば、大手の真似をしてはいけない。大切なのは差別化だ。
もし僕が今のタイミングで
・ゲーム実況する
・スライム風呂に飛び込む
・宝くじを1,000万円分買う(そんな現金はない)
・真冬のアメリカをヒッチハイクで横断する(死ぬよ)
・タイの観光名所をアラフォーのおっさんが紹介する
盛大にスベるのが目に見えている。
物流のユーチューバーになろう
僕がユーチューバーになるのは本業のサポートとなる活動をする為だ。スライム風呂に入って物流の新規のお客さんが増えるのであれば、いくらでも入るよ。
イーノさん、物流ユーチューバーって需要あるんすか?
いい質問だ。テーマに需要がなければ意味がない。それはイケメンに対してモテる方法を教えるような意味のない事だ。
データを持っている and データを活用する
僕は自社のHPやフォワーダー大学という国際物流に関するブログも運営をしていて、どのページにどれくらいのアクセスがあるかがデータで分かる。
サーチコンソールを見るとどのキーワードで来たかも分かるし、キーワードプランナーを使ったら特定のキーワードの検索ボリュームも分かる。
国際物流の専門用語でかなり検索をされている。
自分のサイトのアクセス解析を見る限りでは需要はちゃんとあるし、滞在時間も長く、訪問者がどのテーマに関して時間をかけて見ているのかがよく分かる。
これを動画にしてアップしていけばいいんだ。
ターゲットを特定する
どういうキーワードでどのページにアクセスが集まっているのかも分かった。例えば「インコタームズ 図解」「ハウスBL マスターBL 違い」などで検索をされている場合、誰がググっているのだろうか?
メーカーや商社の貿易部門の人。または物流業者で事務や実務をしている人だろう。今の時期だと新卒の可能性も高い。メントスコーラにテンション上がる小学生でないはずだ。
そして国際物流においては専門用語や流れはだいたい世界共通だ。これは国際物流ユーチューバーとしては朗報だ。
日本語で作ったコンテンツを英語やその他の国の言語にすれば見てくれる層が広がる。英語は特に大きい。国際物流に従事をする人は英語が必須だから、ターゲット層が広くなるのだ。
そんな事を思い英語でも動画を作ってるけど、まだ再生回数は伸びない。。
ユーチューバーに必要なのは「忍耐」だ。
ライバルを把握する
新しい事を始める時に確認しなければいけないのはライバルだ。もし僕以外にも物流ユーチューバーがタイに100人もいたら、それは本業と同様に激戦状態だ。
しかし現時点で物流のユーチューバーは非常に少ない。
そして貿易に関する情報を発信しているブログは結構ある。
それらのメディアはもう数年も運営をされていてかなりコンテンツも溜まっているし、同じ土俵で戦うには遅すぎる。
物流・貿易のユーチューバーは「もしかしたら需要がないのかもしれない」と不安になってしまうのだが、ブログでのライバルや自身のブログのアクセス解析などを見ている限りでは需要は必ずあると信じている。
大手企業にまともに戦いに行ったら勝てるわけがない。だから大手企業が当分やりそうにないYoutubeという戦場で早い事 陣地を作っておくのが正しい戦略だと思っている。
ライバルに真似されない?
イーノさん、ペラペラとぶっちゃけすぎでライバルに真似されません?
大丈夫だ。物流でのYoutubeはまだまだマーケットが出来ていない。供給者が少ない感じだ。僕一人が頑張って伝えるより、みんなでマーケットを盛り上げるというのも大切な事だ。
そして大切な事をお伝えしよう。
実際は甘くないユーチューバーとしての活動
ユーチューバーは恐ろしく過酷だ。
この4月13日〜5月5日までに、合計で16本の動画をアップした。
動画のテーマはデータで決まっている。しかし、晩ご飯の献立が決まったからと言って それが食卓にすぐに並ぶ訳ではない。材料を買いに行き、調理をして、盛り付けをする必要がある。
上述している僕の戦略での動画の場合は
・日本語で台本を作る
・アニメーション動画を作る
・セリフを録音する
・編集をする
・台本を英語にする
・英語で動画を作る
・英語のセリフはA.Iを使う
・英語の字幕を入れる
・編集をする
・タイ語にも翻訳する
・タイ語で動画を作る
・タイ語でセリフを録音する
・編集をする
・Youtubeにアップロードする
マジで手間がかかるんだよ。。
そして、これだけの作業をしたにも関わらず、再生回数が伸びない、アップロードしていきなり低評価を付けられる、僕はまだないが変なコメントも来るだろう。
辛い。。
一般的にYoutubeで成果が”出はじめる”という50本の動画アップまで心が持つかどうか。忍耐力との勝負になるので、もし多くのライバルが参入しても大多数は継続するのは難しいと思っている。
僕の場合は本業で就業中に時間を使って動画を使ったり、外注さんを使ったり、タイ人スタッフも使って活動をしている。個人の副業でやるには相当気合を入れないと難しいと感じる。
逆にチャンス到来じゃないか!?
さて、コロナの影響による新規獲得方法が変わるかもしれないからYoutubeを使って白ひげ海賊団になろうと書いてきた。そして白ひげ海賊団への道は辛くて遠く、雑魚キャラで終わってしまうかもしれない。
しかし、このタイミングでYoutubeを始めて本当にロマンを感じている。僕の大好きな言葉「サクセス・ストーリー」があるかもしれないのだ。
僕のような中小企業では大手とは違い、簡単にマーケットシェアは取れない。
細々と営業活動をしているが、グローバル・レートを使った超安売りや本社とのコネという、大手の力業でせっかく獲得したお客をガッツリと取られる事も今までにあった。
悔しい!!
黒船来航と同じだと感じている
この新型コロナウィルスはビジネスにおいて黒船来航と同じ驚異でもある。
しかし、その驚異を必死で乗り越えて新政府の重要ポストにつく事が出来た薩摩や長州藩士のように、この機会を必死で生き抜いたら現代のビジネスにおいても業界で大きなポジションが取れるかもしれない。
逆に困難な時に何もしなかった幕府や諸藩のように、このコロナで自宅待機だからといって昼間っから酒を飲んでNetflixを見ながらダラダラしていると、未来はないんじゃないかと思う。
不謹慎かもしれないが、ビジネスでは今が千載一遇のチャンスだと思っている。※もちろん業界にもよります。
もしYoutubeが外れたら。。。
チャンスだと思って頑張ってYoutubeの更新をしているが、万が一 外したとしても個人的にはこの活動は全く無駄にならないと思っている。
何故なら僕は事業を持っているからだ。一般のユーチューバーと違いPVを稼いで広告で収入を得る必要はない。
広告収入が得られるくらいPVが増えたら最高だ。夢がある!
副業でYoutubeをしようとする人は、本業に絡められるブランディングや自己成長の為に使うとかの方がいいと思う。PVを集めて広告収入を得たいと考えるにはコスパが悪すぎる。
新人のトレーニングに動画を使う
弊社では物流業務の人材は定期的に採用をしている。未経験だとしてもポテンシャルがあると感じれば採用する事も多い。
これまでは僕や相方が時間を使ってトレーニングをしていた。その教育に対しての時間やコストは少なくはなかった。それを動画を使う事でかなり抑える事が出来る。
営業マンのサポートツールになる
上述しているように物流でYoutubeをやっている人は少ない。弊社の動画を営業マンに使わせる事で、これまでに無かった武器を与える事にもなる。
営業マンの力がそれ程 高くなくてもサポートツールでお客が取れれば、それはメリットが十分にある事だ。
代理店の役に立つ事も出来る
国際物流というのは同じ地域ではライバルだが、地域が違えばパートナーになる。輸出入の両方でお客をサポートしないといけないから。
代理店に僕が作った動画を代理店の新人教育とか、タイの物流事情に関する事も含めてを伝える事が出来れば代理店の役に立つ事が出来るだろう。
うちには8社のグループ会社もあるからその教育にも使う事が出来ると考えている。
ユーチューバーデビューに損はない
「ユーチューバーになりました。」最近はこの言葉を冗談交じりでよく使うのだが、実際のところはかなり本気である。これは上述した理由のように物流業だから有効だという話ではない。
ツールとしての動画は今の時代ではかなり有効だ。もしライバルがやっていないのであれば尚更だ。問題は手間がかかるという事ではあるんだけれども、自社のサポートツールにも使えたりするから、動画を作って損になることは絶対にない。
むしろ、この機会に何もしない方がリスクだ。
相変わらず意識高いっすねww
うん。だってパパは仕事を失うわけにはいけないから。
4ヶ月になった息子が可愛いすぎてパパは頑張って仕事をしています。
家に帰って作業してると息子がよくグズるんだけど、作業もしたいからこんな感じでやってます。
動画制作は動きもあるから息子も画面に集中していて静かな状態。
家で仕事すると効率が落ちるんだけど、子供は可愛いから まぁ良しとしている。 pic.twitter.com/zlC8kKHAtX
— イーノさん@物流・貿易Youtuber🇹🇭 (@iino_saan) April 28, 2020
まとめ
大切な事を最後にお伝えするが、僕は全ての業種の人たちに この危機に耐えてがんばれとは言っていない。難しい業種も勿論あるし、努力ではどうにもならない状況の人もいるのは理解している。そういう人にとっては今回の記事はウザいと思う。申し訳ありません。
僕のYoutubeの活動を例にして長々とお伝えしてきましたが、今回一番伝えたかったのは大変な時だけどこれからの時代の為に今出来る事をやろうねという事だ。
僕の知り合いの経営者さんたちは、現在マジで危機感を持って大量行動をしている。自粛やテレビのネガティブなニュースで気が落ち込むのも分からなくはないが、今を頑張る事が出来れば必ずチャンスを掴んでいると心から思う。
こんな時だからこそ意識を少し高く持って、今 出来る事を頑張ればコロナ問題がマシになった時にリカバリー出来るはずだ。それには個人一人一人の力が大切だと思うのです。
イーノさんの物流・貿易解説チャンネルはこちら
おかげさまで物流関係者や物流に興味のある方から「分かりやすい」とのコメントを頂いております。分かりやすさを意識してつくっておりますので、物流・貿易関係者様にはお役に立てると思います。
物流・貿易関係者さんに是非みて欲しいです。