管理職・上司の立場として、今までに部下の営業マン達にもっと売ってきて欲しい、もしくはせめてマトモなレベルにまで上がってきて欲しいと思った事はないでしょうか?
営業力を強化したい。ダメ 社員を出来る営業マンに育成したい。人材が限られている中小企業では、出来る人材がドンドン入ってくるという事はマレです。
今いる社員をいかにして育成するか。普通の社員、ダメ社員であったとしても売れる営業マンに育成する事が上司の仕事です。本日はなぜ営業マンが売れないのか。そしてどうすれば売れる営業マンになるのかについて具体的な方法をお話ししていきたいと思います。
営業マンが売れない理由
営業マンが仕事をしない。またはちゃんとした仕事が出来ていないという場合に、営業マンの「ヤル気がない以外」で考えられるのは、「分からない」からです。
何が分からないのかというと、全てす。自分の役割や業界に関する事。やって良い事とやってはいけない事。お客の見つけ方、お客のフォローの仕方。お客を取った時のご褒美や仕事をしなかった時の罰則。などなど。
OJTの問題という記事でも書きましたが、OJTでは教育担当する営業マンの基準が、部下の基準になってしまいます。OJTで仕事を教える先輩は「仕事」を教える事ができますが、それ以外の事の教育までしっかりと出来るかどうかは人次第です。それでは組織として社員の理解に大きな偏りが出来てしまいます。
この「分からない」事を全てを明確にし、部下を根気よくフォローしていけば必ず売れる営業マンになってくれます。次に具体的に何を明確にするのかについてご説明します。
売れる営業マン育成の為に明確にする7つの事
1. 組織が求めているもの
2. 上司の役割
3. 仕事のガイドライン
4. 営業が使えるツール
5. 具体的な営業方法
6. 評価基準
7. 結果に対する褒賞・罰則
1つずつ見ていきましょう。
1. 組織が求めているもの
営業マンも上司も会社組織の一員です。その組織が何をする集団なのか。経営者は何を目指していて、社会や社員にどのような影響を与えようとしているのか。その為に「会社理念」があります。全ての行動のベースはこれであり、行動指針でもあります。
組織が営業マンに求める事
「営業だから仕事を取ってきたら良いんだろ」と単純な解釈をされてしまうと、仕事の質に影響します。多くの場合がこれに当てはまるから、売れない営業が出来上がってしまうのです。組織が営業マンに求めるのは、もちろん仕事を獲得することです。しかし、その仕事を獲得するという事が組織全体に取ってどのような影響を与えるのか。
営業マンの仕事はただ単に目の前の仕事をとる事ではなく、「組織が社会に与える影響」に自分は貢献しているんだと理解してもらいながら仕事を獲得していかなければいけません。
人を人として扱う
組織が営業マンに「仕事獲得」だけを求めてしまうと、営業マンはただの「ツール」になってしまいます。いくらでも取り替えが可能、その人に求めるのは完璧なる歯車。「役割を遂行する事」と「人をモノとして扱う」のは別の話です。
仕事を通しての人間的成長や社会貢献、人生を充実させるなど。組織が営業マンを人として扱い、それに対して何を求めているのかを明確に営業マンに理解してもらう必要があります。
2. 上司の役割
売れない営業マンのほとんどは自分の事しか見えていません。上司の役割は、自分を口うるさく管理する人間というようにしか認識していない場合があります。そういう売れない営業マンは そもそもの組織が求めている事も理解していないので、上司の役割が組織のゴール(経営者の目標など)を実現するための、マネージメントをする人という認識は皆無だと思います。
上司、いわばマネージャーですが、マネージャーは営業担当が仕事を取りやすくなるためのサポートをしなければいけません。詳しくは以下のものを作り、営業担当者が理解するまで伝えます。
2-1. 仕事のガイドライン
2-2. 営業が使えるツール
2-3. 具体的な営業方法
2-4. 評価基準
2-5. 結果に対する褒賞・罰則
では、更に詳しく見ていきます。
2-1. 仕事のガイドライン
あなたの会社の営業マンの仕事が何であるかを明確にし、概要を伝えます。例えば、弊社の場合は「物流」と「商社」の仕事をしているのですが、そもそも物流・商社とは何か、また弊社自身が物流業、商社業として何をしているかを伝えています。
これをしっかりと伝えないと、お客に伝えなければいけない事をしっかりと伝えきれなかったり、売らなければいけないものを売らなかったりします。弊社では物流全般を扱う事が出来るのに、海上輸送しか提案していない営業マンがいました。
まずガイドラインとしてあなたの会社の大枠、営業マンの仕事の大枠を明確にします。
2-2. 営業が使えるツール
あなたの会社の仕入先や代理店、協力会社、顧問弁護士などを全てリスト化して営業マンに説明します。上司や経験のある営業マンは独自の仕入先とか協力会社を知っていますが、その情報が他の営業マンにも共有されていないと意味がありません。
ダメな営業マンが仕入やサポート会社で悩んでいたら、使えるツール(情報)として営業マンに共有しましょう。また上司や先輩営業マンも、一般営業マンが使えるツール(情報源)です。相談が必要な場合はいつでも相談できると、許可をしっかりと与える必要があります。
また技術が進歩して世の中はだんだんと便利になってきていますよね。スマホや情報を共有するためのアプリといったツールは積極的に活用すべきだと思います。弊社ではEvernoteやGoogleカレンダーだけでなく、独自システムも活用しています。
2-3. 具体的な営業方法
OJTの問題という記事でも書いたように、具体的な営業方法を体系化・マニュアル化せずに、先輩営業マンの経験をベースに教育をしてしまうと危険です。
全ての営業プロセスを分解し、マニュアルに落とし込みます。例えば、新規営業電話の掛け方という項目の場合、トークスクリプトが必要がです。そのトークスクリプトで何を話すかが事前に決まっているので伝えなければいけないことがモレることはありません。
また実際にお客に訪問した際に何を説明するかについてもマニュアル化します。商談の流れでもちろん変化することはあるのですが、相手がしてくるであろう質問についても用意しておく事が出来ますし、予想外の質問が来たら「確認して連絡する」と伝えるようにも出来ます。
このようにマニュアル化する事で必要最低限の伝えなければいけない事は伝えることが出来ますし、押しのポイントとして強調すべきところも、全ての営業マンが実践する事が出来ます。
2-4. 評価基準
営業マンにコミッション制を取り入れている会社であれば、評価基準は売上・利益と非常にわかりやすいのですが、そうでない場合は何をやったら評価されるのかを明確にしなければいけません。
営業マンのモチベーションが上がらないのは、自分が上手くやっているつもり(思っているけど)なのに、思ったように評価されない事です。組織が営業マンに何を求めていて(プロセスが重要なのか、結果が重要なのか)、何を達成してくれば評価されるかを明確にしましょう。
2-5. 結果に対する褒賞・罰則
「何をやっても変わらない」となると人は一般的に楽な方向に流れていってしまいます。組織が営業マンに対して求めている事が出来ていたら褒賞があるべきだし、出来ていなかったら罰則があるべきです。そして重要なのはそれを伝える事です。
多くの企業が褒賞と罰則を明確に伝えていません。弊社の場合はコミッション制なので褒賞は分かりやすい。また罰則に関しては、ボーナスカット、経費のカット、ポジションの変更をするとはっきりと伝えています。
まとめ
ダメな営業マンは元からダメだと言うわけではなく、色んなことを分かっていないから、何をしていいか分からないというのが実は多いです。
弊社の場合はタイ人を雇っているので、そう感じる場面は少なくありません。本当に知らずにダメな事をやっていたりします。それは営業マンの問題ではなく、管理する上司の責任。マネージャーがしっかりと伝える努力をしなければいけません。
また営業マンには個人差がある事も理解しなければいけません。しっかりと伝える努力をしてもすぐに理解できる人と、なかなか理解してくれない人がいます。出来るだけ採用の時点でそれを判断したいところですが、採用してから大変だと感じることは弊社でも少なくありません。
そもそもが優秀でなくても、あなたの会社について来てくれているだけで カワイイ社員だと思い(人を人として扱い)、出来るまでサポートをしてあげる体制を整え、ギスギスしていない良い組織にしていきたいものです。