フォワーダーとしての「ビジョン」について考えるようになった話。

タイでフォワーダーとして起業してもうすぐ5年が経過する。今日はタイトルにもある通り、会社のビジョンについて考えるようになったきっかけをツラツラと徒然なるままに書いていきたい。

好況が続く国際輸送業界


海運業界はコロナによるコンテナ不足、船のスペース不足が2020年11月から続いており未だに回復の兆しは見えていない。当初は2021年2月頃(中国の旧正月)には解消するのでは?という見立てがあったが、ところがどっこい そんなに甘いものではなかった。

この海運というインフラの乱れは、航空輸送にも影響する。船のスペースが取れないから 費用は爆上がりするが渋々エアーで送らなければヤバいという状態が続いている。

その為に市場では船会社、航空会社、国際輸送業者(フォワーダー)は空前の好景気を迎えているのだ。

業界内で投資が進む

そのような混乱を極める国際物流業界の中で弊社もありがたいことに好景気の恩恵を得ている。

起業して以来2016年から2020年までは非常に安い海上運賃で荷主からは「どこを使っても同じだろ?」と思われ 強烈な価格競争のなか何とか生き残ってきた。そしてやっと痛みに耐えてきた甲斐があったと言える状況になった

それにより大手企業もこの好景気で得た収益を将来の投資に回しているように、弊社でも人材に投資をするようになった

私的成功の達成が少し見える

また起業当初の資本金をオーナーに借りていたのだが、耳をそろえて全額返済することが出来きただけでなく、キャッシュフローが命のこの仕事において、ある程度十分のキャッシュを会社に貯めることが出来た。年収もそこそこになった。

飯野飯野

やっと25歳から夢見た事業での成功がチラッと見えた気がした。

僕がタイに移住をして、フォワーダーとして起業をしたのは完全に成り行きである。詳しくはこちらの記事に書いている。

絶対のフォワーダーがやりたい!といって始めたわけではない

このように成り行きでフォワーダーの仕事を始めて、起業もしているのでフォワーダーの仕事が大好きだったかというと、そうではない。最初はぶっちゃけ好きにはなれなかった。

飯野(闇)飯野(闇)

だから最初からビジョンが全くないのだ。

なぜフォワーダーをやるのか?

国際物流業者という貨物を世界中にお届けするという仕事において、特に自分たちがやりたいことを相方と一緒に明確に考えたことがなかった。

起業当初から相方とは喧嘩ばかりしていたし、性格が真逆の彼と抽象的なビジョンについて語るのは答えが絶対に出ないと思い先送りにもしていたというのも理由にある

しかし、気持ちの変化が現れたのが最近のマーケットにまた新たな変化が現れてからだ。

マーケットに変化が訪れる


これまでのフォワーダーは船会社・航空会社の代理店として、船・飛行機のスペースを荷主に販売する存在だった

弊社の親会社もそうだけど、この海上運賃・航空運賃に利益を乗せて営業活動をするスタイルだったんだけど、それだけでは通用しない時代が来たと言ってもいい

それは大手の船会社やフォワーダーが自社でITプラットフォームを開発し、AgodaやExpediaのように価格が簡単に比較されるようになってきたからだ。

飯野飯野

2021年7月から大手フォワーダーのITプラットフォーム開始の発表が増えている。


若者若者

DXという言葉も流行ってますからねー。

詳しくはこちらの記事に書いている。フォワーダーも変化しないといけないと考察を書いてみた。

変わらなければヤバい状態になる

この時代の変化に危惧をして2019年末に「自分たちも変わらなければいけない!」と思い、2020年早々に弊社のグループ会社にデジタル化を提案したのだが、グループ会社の他の社長のコンサバと、コロナの影響で現在もペンディングをしている。

このまま変わらずに海上輸送・航空輸送の運賃に利益を乗せて販売するやり方を続けていれば、コンテナ不足・スペース不足が落ち着いた時点でこのビジネスモデルはもう通用しない

コモディティー化する国際輸送業界


そしてデジタル化しただけでは単に土俵に上がっただけ。大手には通用はしない。

だから次に考えなければいけないのは、フォワーダーとしてのあり方だと思っている。国際輸送という仕事はこの資本主義が続く限りは無くならない。しかし銀行やテレビ・洗濯機のような白物家電と同じようにコモディティ化が進んでいる

冒頭に書いたように荷主からは「どこを使っても同じ」と思われがちなのである。実際に思われていると思う。

業界のコモディティー化に影響する人材

また社員においても同じことが言える。フォワーダーをしている人は同業で転職を繰り返す傾向が強い。それは仕事内容が他社に移ったからといってもほとんど変わらないからだ

そうなるとタイにおいては少しでも給料が高い会社に転職しようと考える人は少なくないのである。最近では日本でも転職が一般的になりつつあるけれども、タイだとすぐに転職する。

これに関して言えば弊社では
1. 社内で仕組み化をしっかりとする
2. 転職されるのを前提とする
3. 給料が安い人材でも仕事を回してコストを抑える

現在はこのように経営して十分に利益が出ている。しかしIT化が進むにつれて他の会社でも仕組み化が容易になり、更に物流業界の人材の流動性は上がると思う。

せっかく働いてくれた社員が給料が安いという原因で他社に移られるのは辛い。給料はある程度コントロール出来るところだが、自分たちが世の中にどのような価値を提供している会社なのかを明示しないといけない。

飯野飯野

だからビジョンが必要だ。

まとめ

自分たちが物流を通して何を実現したいのか、その為にはどうあるべきか。守るべき価値観は何か。など。これまでは荷主も社員もフォワーダーなんてどこも同じだと思っていた節があるが、HPS(弊社)を使う理由を明確にしないといけないと思うようになった

最初は自分の私的成功に盲目的になっていたが、ある程度達成してしまってからは 興味がなくなってきたのも正直なところである。自分のキャリアのアドバンデージを考えると、物流業界を軸に活動をする方が自分がやりたいことが出来そうだとも思っている。

これまで全く考えてこなかった、「物を運ぶということはどういうことなのか?」「どういう存在でありたいのか?」という問いに対して、最近は向き合うようになった。まだ全く答えは出ていないのだが、心境の大きな変化となっているので自分の考えをツラツラと徒然なるままに書いてみた。