マーケティング戦略の基礎、売り方を学ぶことをやめると会社が成長する理由

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どうすればもっと売れるのか知りたくないですか?

日本の中小企業経営者は〝売り方を学ぶ〟ことが大好きです。売上拡大は経営者が抱える共通の悩みであり、流行りのセールス方法をレクチャーするセミナーや勉強会には、多くの人が集まっています。

数々の実例では優れた売り方が紹介されます。

優れた売り方が企業を成長させた
 ↓
企業が成長するには優れた売り方が欠かせない

経営者の頭の中は、売り方、でいっぱいです。しかしこれらは、そんな経営者たちが作りだした幻想であることに、気がついている人はほとんどいません。

今回は、売り方を学ぶことをやめると会社が成長する理由をご紹介します。

【目次】

1. 売り方さえ・・・という幻想

2. 売り方を学んでも使いこなせない

3. 売り方より重要なもの

4. まとめ


1. 売り方さえ・・・という幻想

企業が成長するには優れた売り方が欠かせないという幻想はどうして生まれたのでしょう?


希望的観測1:もともと売れていたんだから、本当はもっと売れるはずだ

バブル以前は、高度経済成長もあり、ほとんどの会社が売上を伸ばして成長していました。しかし、バブル崩壊後は、ほとんどの伸びない会社と、少数のそれでもなお伸びる会社と、明確に分かれるようになりました。ほとんどの経営者が、「もともと売れていたんだから、本当はもっと売れるはずだ」という勝手な希望的観測をして、自分のことは棚に上げて世の中を憂うようになりました。


希望的観測2:もうちょっとうまいことできれば、本当はもっと売れるはずだ

不景気になり、成長企業のノウハウやアイデアを知りたいという需要がどんどん高まってきました。そこへITインフラが整い世の中の情報量が爆発的に増加したことが拍車をかけます。

大企業創業者や、最大瞬間風速を叩き出す時代の寵児、成功者と呼ばれる人のセミナーや講演会、著書などは後を絶ちません。自然と他社のアイデアを目にしたり耳にしたりしているうちに、「もうちょっとうまいことできれば、本当はもっと売れるはずだ」という勝手な希望的観測を抱くようになります。


売り方が重要であって欲しいという願いがつくりだした幻想

「もともと売れていたんだから、本当はもっと売れるはずだ」
「もうちょっとうまいことできれば、本当はもっと売れるはずだ」
と思いながら日々を過ごすと

「売り方次第でもっと売れる」
ということが真理としか思えなくなり、そうでないと困るようになります。なぜなら、自分の商品やサービスが悪いからという答えを導き出したくないからです。

そうして、売り方が重要であって欲しいという多くの願いがつくりだした幻想が、『企業が成長するには優れた売り方が欠かせない』ということなのです。


2. 売り方を学んでも使いこなせない

現在は非常に多くの売り方が登場し、学びの機会は増え続けています。

YouTube、Facebook、Twitter、ブログ、SNS、WordPress、PPC広告、リスティング広告、ライティング、ダイレクトメール、セールスレター、ランディングページ、ホームページ、オプトインページ、チラシ、アフィリエイト、アメブロ、FC2、ノベルティ、イベント、展示会、サンプル、LINE、オークション・フリマ、ヤフオク、楽オク、メリカリ、ショッピングサイト、Amazon、BUYMA、せどり、MLM、通信販売、訪問販売

あなたも学びたいものがあるかもしれません。しかし、よく考えてください。

これらはなぜ必要なのですか?
本当に必要なのですか?
これらでないとダメなのですか?
結果を出したという話につられていませんか?

明確な理由がなければ、いくら売り方を学んでも会社は成長しません。


会社を成長させる方法 ≠ 売り方

料理に例えてみましょう。

料理の知識がないのに最適な調味料を選択できるでしょうか?
ほとんどの場合イメージしている料理にはなりません。美味しくなったとしても、たまたまです。

医療に例えてみましょう。

医療の知識がないのに最適な医薬品を処方できるでしょうか?
ほとんどの場合症状はよくなりません。治ったとしても、たまたまです。

ビジネスではどうでしょう。

会社を成長させる方法がわからないのに1つ売り方を学ぶだけで最適な売れる仕組みを組み立てられるでしょうか?
ほとんどの場合徒労に終わります。成果が出たとしても、たまたまです。

〝売り方〟は会社を成長させる要素のひとつにすぎないのです。


ノウハウを学ぶ人の90%以上が使いこなせていない

あなたが学んでいるのは、会社を成長させる仕組みでしょうか。それとも売り方の1つでしょうか。優れた売り方を追い求める限り、あなたはいくつもの売り方を探し歩く必要があるでしょう。そして、こう呼ばれるかもしれません。

「ノウハウコレクター」「コンサルジプシー」

逆に、コンサルタントを選ぶ際に見極めることができれば、効率的に学ぶことができます。ビジネスを成長させる仕組みを教えてくれる人か、それとも売り方の1つを教えてくれる人か、選ぶのはあなたです。


3. 売り方より重要なもの

現在の状況が非常に悪く優れた売り方を学びたい、とします。そんなとき、売り方はどのくらい重要なのか、下記のような方程式で考えてみましょう。

 売り方 × 商品力 = 現在の状況

現在の状況が非常に悪く優れた売り方を学びたいとすれば、売り方も良くないはずです。そうすると

 売り方(悪い) × 商品力(高い?低い?) = 現在の状況(悪い)

このようになり、商品力も必然的に低いのではないでしょうか。なぜなら商品力が最高であれば現在非常に悪い状況にまではなっていない、と考えられるからです。商品力の低いものを、売り方でカバーするというのは、いかがなものでしょう。

このように、売り方よりも重要な課題は商品力であることがほとんどです。商品力が最高であれば、下手な売り方でもそれなりに売れ、最高の売り方であれば爆発的に売れます。認めたくなくても、残念ながらこれは事実なのです。

しかし、取扱商品を変えろとか、その商売をやめようとか、そういうことではありません。商品力が重要だと気づけたとすれば、商品を改良すれば良いのです。


4. まとめ

マーケティング戦略の基礎、売り方を学ぶことをやめると会社が成長する理由、をまとめると

・『企業が成長するには優れた売り方が欠かせない』というのは幻想
・売り方を1つ学ぶだけではダメ
・会社を成長させる方法 ≠ 売り方
・売り方よりも重要な課題は商品力である

ということです。もちろん会社が成長するには、商品力だけでなく、組織や財務、マーケティングや経営戦略など、多くのことが関係します。〝売り方〟だけではないですね。

目先の売上欲しさに、小手先のテクニックに飛びついても、大きな成果は見込めません。あせる気持ちを抑え、しっかりと戦略を見直し、商品力の強化に力を注ぎましょう。